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Henning Schmiedtさんが奏でる、暮らしに溶け込む優しい音色

リラックスしたいとき、気持ちを落ち着かせたいとき、元気を出したいとき、皆さんはどんな音楽を聴いていますか? 人それぞれ「自分にとっての心地よい音」「好きな音」というのがあると思います。今回は私にとっての心地よい音、ピアニストHenning Schmiedtさんが奏でる音色をご紹介します。

Henning Schmiedtさんについて

Henning Schmiedt(ヘニング・シュミート)さんは、旧東ドイツ出身のピアニスト、作曲家、編曲家。クラシックやジャズ、民族音楽など様々な分野で活躍し、そのジャンルレスでセンス溢れる旋律で世界中を魅了し続けています。

名指揮者Kurt Masur(クルト・マズア)氏も生前、シュミートさんの個性的なアレンジメントやピアノスタイルに一目置いていました。ギリシャにおける20世紀最大の作曲家と賞されるMikis Theodorakis(ミキス・テオドラキス)氏からも絶大な信頼を受け、長年にわたり音楽監督、編曲を務めています。また、世界的歌手であるJocelyn B. Smith(ジョセリン・スミス)氏やMaria Farantouri(マリア・ファラントゥーリ)氏らの編曲、ディレクターとして数々のCDやコンサートを手がけ、同アーティストの編曲でドイツ・ジャズ賞、ドイツ・ジャズ批評家賞を受賞。そのプロデュース活動は多岐に渡っています。

bei

シュミートさんの奏でる音はどれも本当に心地よくてお気に入りなのですが、その中から最近私がよく聴いている2枚のアルバムをご紹介します。

1枚目はこちらの『bei』。同じベルリン在住のヴァイオリニスト奏者Christoph Berg(クリストフ・ベルグ)氏と録音した初の二重奏作品で、即興を主体としています(即興とは思えない旋律…)。お散歩するとき、リラックスしたいとき、いつ聴いても顔がほころんでしまう幸せの音色です。

教会音楽からジャズ、ワールドミュージックまで、様々な和声の引き出しを存分に感じさせてくれるヘニングのピアノに、Field Rotationや本名名義でのアンビエントな作風からは打って変わって、弦が擦れるフラジャイルで小さな音から躍動感溢れるプレイまでを見せるクリストフのヴァイオリン。即興から生まれたとは思えない鮮やかな展開、美しい旋律の数々は、古典的なデュエットの形に新しい発見と豊かなリスニング体験を与えてくれます。(音楽レーベルflauより)


『bei』(Amazonで見る)

Schlafen

2枚目は『Schlafen』。こちらは、J.s.バッハのゴルトベルク変奏曲にインスパイアされた最新作です。

ゴルトベルク変奏曲は、当時不眠症に悩んでいた伯爵が「眠れない夜を穏やかに過ごせるような曲を書いてくれないか」とバッハに頼んで製作されたというエピソードがあり、「不眠症のための音楽」とも呼ばれています。シュミートさんもそのトピックに焦点を当て、この変奏曲を録音したそう。アルバム名の『Schlafen』(ドイツ語で「眠る」「睡眠」の意)もそこからきています。

限りなくピアノと近い位置に置かれたマイクは親密なサウンドを取り込み、ピアノ内部のノイズと動きを強調し、ミュートされたアップライト・ピアノは、柔らかく繊細に奏でられ、アイコニックなクラシックの宝石を、これまでとは全く異なる姿勢で表現します。ヘニングによって新しく作られた不眠症の音楽。もう一度アリアが響く頃、その音楽は夕暮れの青を描いて、聞き手を心地よい眠りへと導いているかもしれません。(音楽レーベルflauより)


『Schlafen』(Amazonで見る)

お気に入りの音色は心のお守り

はじめてシュミートさんの音色を聴いたとき、一つ一つの音がすっと身体に入ってくるような不思議な感覚になりました。何気ない瞬間に聴いても、自然と生活に溶け込んでいく。何か気持ちがざわざわと落ち着かないときには、心を穏やかな状態に導いてくれる。私にとってはお守りのような、とても大切な音色です。

生きていると色々なことが起こります。嫌な言葉が聞こえてきたり、もやもやすることだってありますよね。毎日穏やかではいられないかもしれませんが、なるべく気持ちを乱さないように、お気に入りの音色と一緒に空を見上げて深呼吸してみましょう。きっとまたゆっくり歩きだしていけるはず。